『人の10倍の「仕事量」をこなす技術』(五十棲剛史著)

イゾヅミ氏の本を読むのは初めてだが、面白かった。
名刺にメアドを載せず、アポイントなどは電話で済ませるそうだが、たしかにそのほうが効率はいいと思う(役員だからできることとはいえ)

ほか、なるほどと思ったのは以下のとおり。

・打ち合わせで、「では、社に戻ってから…」は絶対にしない

・目的という視点から仕事を洗い出してみると、やらなくてもいい仕事が見えてくる

・業界のことを知らないからこそ、業界の常識に縛られず、斬新なアイデアが出せる

・内容をちゃんと選び、目的意識をきちんと持てば、異業種交流会は実は非常に有効な場となる

・会社にのこってだらだら残業をするくらいなら、早く切り上げてセミナーや懇親会、異業種交流会に参加したりサイトを立ち上げよう。それが結局、「人より多くの成果を上げる」ことになるかもしれないのだ

・ビジネスパーソンとして最も大切な能力こそ「察知力」だと思っている

・新聞のチラシ、該当のポスターや看板、テレビCM、社内吊り広告などをみて「この広告主はどういう思いをもって作成したのか」「誰に向けて出しているのか」など、それらを相手の立場からみるといった習慣を日ごろからつけておくことで察知力は高まる


「打ち合わせで宿題を持ち帰らない」「電話をもっと有効に活用する(メールで時間をムダにしない)」「常日頃から察知力を磨く」などはさっそく取り入れていきたい。

|

『内藤忍の資産設計塾 外貨投資編』

外貨投資について、ひと通り書いてある。
教科書みたいな感じだが、コラムが面白い。
なるほどと思ったのは以下のとおり。

・長期投資をする場合に重要なことは、積み立てによって投資タイミングを分散させること。資産価格が値下がりしても、その後回復すると考えるのであれば、途中でやめないで積み立てを続けること

・投資信託の基準価格は通常、1万口あたりで表示される

・標準的なアセットアロケーションは
日本株式20%
日本債券20%
外国株式30%
外国債券10%
流動性資産・その他20%

・バンガードグループが過去40年間のデータを集めて、「長期投資の結果に最も影響を与えるのは何か」について分析を行ったところ、株式や債券、預金といった資産をどのような比率で保有するかという資産配分によって投資結果全体の約77%が決まる、という結論が出た

・プライベートバンクは日本では10億円以上の金融資産を保有する富裕層を対象にビジネスを展開。HSBCやシティバンク、新生銀行などが提供している準プライベートバンクのようなサービスは、金融資産1000万円から1億円程度の「マス富裕層」をターゲットにしている

経済の先が見えないので、プライベートバンクの需要も高まるのではないかと思う。

|

『スティーブ・ジョブズⅠ・Ⅱ』

買うかどうか迷ったが、読んで正解だった『スティーブ・ジョブズⅠ・Ⅱ』。ジョブズの言葉集よりも全然よかった。なるほど天才というのは尋常じゃないということがよくわかった。

覚えておきたいと思ったのは以下のとおり。

・アップルのマーケティング哲学。一番目は「共感」。「アップルは他の企業よりも顧客のニーズを深く理解する。顧客の想いに寄りそうのだ」

・二番目は「フォーカス」。「やると決めたことを上手に行うためには、重要度の低い物事はすべて切らなければならない」

・三番目は「印象」。「人はたしかに表紙で書籍を評価する。プロフェッショナルかつクリエイティブな形で提示できれば、評価してほしいと思う特性を人々に印象づけることができる」

・「なにをしないのかを決めるのは、なにをするのか決めるのと同じくらい大事だ」(アイブ)

・「本当にシンプルなものを作るためには、本当に深いところまで掘り下げなければならないのです」
ジョブズとアイブにとって、デザインとは表面的にどう見えるかだけの問題ではない。製品の本質を反映していなければならない。

・「創造性は何気ない会話から、行き当たりばったりの議論から生まれる。たまたま出会った人になにをしているのかたずね、うわ、それはすごいと思えば、いろいろなアイデアが湧いてくるのだ」(ジョブズ)

・デジタル世界では人々を分断する力が強く働くとよく知っているからこそ、ジョブズは顔を付き合わせた話し合いを重視する

・「自分の意見を言わなければばっさりやられると早い段階で気づきました。議論を活発にするためスティーブはわざと反対意見を言うのです。そのほうがいい結果が出ることもありますからね。つまり、反対できない人は生き残れないのです」(クック)

ジョブズのような天才ですら、顔を付き合わせて話すことをもっと重視していたわけで、もっとフットワークを軽くしなくては、と思った。

|

『もうこれは世界大恐慌〜超インフレの時代にこう備えよ』(朝倉慶著)

朝倉氏の新刊。陰謀臭はあるが、経済の仕組みや外国の金融機関情報について詳しく書いてあるので面白い。
なるほどと思ったのは以下のとおり。

・ギリシア救済の債務5割カットですが、ここでのハイライトは「自主的」という一語。(中略)当局は何としてもCDSの決済を避けたいのです。仮にCDSを決済させるようなことを行えば、金融機関でそれに対応できず支払いできないところが続出して、結果として金融システムが崩壊することを知っているから

・PIIGS諸国やフランス、ベルギーの国債の保証、いわゆるCDSの引き受け手(この場合CDSの売り手)はドイツの銀行が引き受けてになっているケースが多い。つまり、保証の引き受け手は当該国以外の金融機関が引き受ける必要があるため

・現在いちばん盛んに行われているのはイタリアのCDS。次いでブラジル、スペイン、フランスと続きます。ギリシアはもう破綻直前とみられ取引額は減る傾向です。これからはイタリアに続いてフランス、次いでドイツなどの取引も活発化してくることでしょう

・世界の銀行の決算制度を決めているバーゼル銀行監督委員会の指導ではCDSのヘッジ機能を認めている。したがって、JPモルガンはSEC(米国証券取引委員会)に対してPIIGS向けのCDSの98%以上について、同様のCDSを購入することでリスクを相殺していると説明している、しかし、仮にヘッジしていたあと思った相手方が破綻したら、そのヘッジは意味をなすのか?

・スイスフランはユーロに対して無限大に印刷するといっており、仮にユーロが暴落して大崩壊となったら、その過程で為替介入として膨大なスイスフランを印刷する必要が生じます

・日本国債の入札は、国、財務省と引き受け側のプライマリーディーラー(大手金融機関/銀行、証券会社)が相談して行う。はっきりいえば談合

・バーゼル銀行監視委員会バーゼル3の改訂で国債が100%安全であるという基準を改定。銀行の保有する資産に対して、株や社債の比重拡大を認める

ゴールドマンサックスがオリンパスの筆頭株主になったが、それにまつわる著者のストーリーは非常に面白かった。おそらく当たっているのであろう。

|

『ソブリンリスクの正体』(浜矩子著)

浜氏の本は語り口が独特で、斬新な切り口の内容が多いが、本書はさすがにネタ切れなのか、
真新しい情報はとくになかった。

なるほどと思ったのか以下のとおり。

・アイスランドが2008年10月に事実上国家破綻をしたとき、カウプシング銀行が日本で起債した780億円の円建て債がデフォルト(債務不履行)に陥った。
 この間に、アイスランド株式市場の時価総額はその85%を失い、通貨価値は3分の1になった。

・2011年夏のアメリカにおける債務上限引き上げ法案をめぐる議会論議は、債務上限そのものを引き上げるべきか否かをめぐる攻防というよりは、反対派が引き上げを容認するにあたって、政府側から何を勝ち取るかという駆け引きの面が多分にありました

・このところのFRBは手持ちの短期債を売ってその分長期債の持ち分を増やすという資産ポートフォリオの入れ替えをやっている。それによって長期金利が下がって短期金利が上がるというねじれが生じるというので、この措置を「オペレーション・ツイスト」といいます

浜氏の本はたとえ話により、世界経済をわかりやすく解説するところに特長がある。
本書は経済初心者にはうってつけだろう。

|

『知らないと恥をかく世界の大問題』(池上彰著)

1年前に読んだ本だが、復讐を兼ねて再読。ほとんど内容を忘れていて驚いた。
覚えておきたいのは以下のとおり。

・「量的緩和政策」とは。中央銀行は金融機関が保有している国債などを買い、支払代金と当座預金に振り込みます。つまりタンス預金の金額を増やすわけです。当座預金においていても金利はつきませんから、「このお金をどこかへ貸し出そう」と考える。そうすれば世の中に大量にお金が出回るという発想です

・ゼロ金利政策では、これまで「無担保コール翌日もの」の金利(銀行同士が貸し借りするときの金利)を、日銀が0.1%になるようにコントロールしていました。つまり、これまでは「0.08%になったら下がりすぎだから0.1%まで戻そう」ということをやっていたわけですが、これを「0〜0.1%の間にする」と目標を変えました。銀行間の金利が下がれば、私たちの住宅ローン金利なども下がります

・為替介入のとき、政府は短期の「政府証券」を発行し、これを金融機関に買ってもらうことで円を集める。すると政府の財布には円が入ってきます。政府は日銀に「この財布の中の円を使って、ドルを買ってくれ」と注文し、日銀はそれを実行するだけ。財布の中には替えられたドルが入ってきます。
 政府はこのドルでアメリカ国債を買うことが多いので、結局、為替介入をするたびに所有するアメリカ国債が多くなります。結果、円高ドル安になるとアメリカ国債の価値が目減りするので、損をするハメになる

・中国はトップに「中国共産党」があり、その下に「憲法」があり、その下に「司法、立法、行政」がある。中国の憲法には、「中華人民共和国は中国共産党の指導を受ける」と書いてある。それほどに共産党の力が大きい

・中国共産党は5年に1回、「党大会」を開きます。そのときに塔の幹部である中央委員会のメンバーを選び直す

・イスラム教は大きく「スンニ派」と「シーア派」に分かれます。イスラム教徒の多くは「スンニ派」に属し、「シーア派」は主にイランにいます。だからアラブ諸国のなかで「イラン」は特別な感じがある(イラクもシーア派が6割)

・そもそも自爆テロは、イスラエルに対抗するパレスチナ人が、イスラエル国内で起こしていた

・パレスチナ問題とは、いってみればユダヤ人とアラブ人(パレスチナ人)の陣取り合戦。民族同士の対立でもありますし、ユダヤ教徒とイスラム教徒の宗教対立の様相も呈している

・約1900年前は、イスラエルはユダヤ教を信じるユダヤ人の土地でした。しかしローマ帝国によって国が滅ぼされ、ユダヤ人は世界各国に散り散りになります。やがてこの土地は「パレスチナ」と呼ばれ、イスラム教を信じるアラブ人が多く暮らすようになりました。
 長い間自分の国を持たず、流浪の民となってユダヤ人。
 新約聖書の中に「イエス・キリストはユダヤ人によって十字架にかけられた」という意味の描写が出てきます。キリスト教徒にしてみれば、イエスを十字架にかけたユダヤ人は天敵扱いです。実はイエスもユダヤ人だったのですが。ヨーロッパのユダヤ人たちは差別を受け、まともな職に就けず、当時のヨーロッパで卑しい仕事とされていた金貸しを始め、大成功する人たちが出ました。このためますます憎まれます。
 第二次世界大戦では、ナチスドイツに迫害され、600万人ものユダヤ人の命が奪われました。大戦後にこの事実が明らかになると国際社会は同情的になり、「ユダヤ人の国をつくりたい」という主張に耳を傾けるように。国連はパレスチナを「アラブ人の国」と「ユダヤ人の国」に分割することを決議し、この決議に基づいてイスラエルが建国された。しかし、そこにすでに住んでいたアラブ人はユダヤ人に土地を奪われることになった。かくしてイスラエル(ユダヤ人)に対するパレスチナ住民(アラブ人)の抵抗運動が始まった

・パレスチナ自治区でも、自由な選挙の結果、イスラエルを認めない過激派のハマスが政権をとり、イスラエルとの関係が悪化しました。「自由な選挙を実施すると、イスラム原理主義勢力が力を持つ」。これが中東の皮肉な現実なのです

・FTAは「自由貿易協定」で二つの国と国の間でお互いに関税をなくしていきましょうという取り決め

・FTAは関税だけですが、EPA(経済連携協定)は、いろんな規制や制度についてもできるだけ同じにしていきましょうというもの。規制撤廃+関税撤廃

わかっているつもりでわかっていなかったことが、実にわかりやすく書いてある。
池上氏の最後の言葉、
「『どうすれば、わかりやすく解説できるだろうか』という問題意識を持って勉強すると、吸収が早いことに気づきました。つまり、人は、アウトプットの場を持っていると、インプットの効率が上がるのです」
は肝に銘じておきたい。

|

『2012年大予測 経済とマーケットはこうなる!』(ムック)

浜矩子氏や佐々木融氏など著名なアナリストや大学教授が、2012年の経済がどうなるかについて語っている。
ムックとはいえ、内容は濃く、面白かった。
世界経済、中国経済、為替などに分野がわかれ、それぞれの専門家がどうなるかを述べているので参考にもなった。

|

『マザーズ』(金原ひとみ著)

小説はめったに読まないが、TBS「王様のブランチ」で絶賛されていたので読んでみた。
かなりえぐい内容で、誇張があるとはいえ似たようなことを子育てしている友人に聞いたりもするので、さもありたんと思った。
子育てをあまり手伝わない男性が読むと、目からウロコだろうと思った。

|

『クラウド「超」仕事法〜スマートフォンを制する者が、未来を制する』(野口悠紀雄著)

経済学者である著者は70歳。それでも新しいことにどんどんチャレンジしている。
スマートフォンを持ったのも遅い方みたいだが、さっそく使いこなしている(無駄な機能は使わないが)。
なるほどと思ったのは以下のとおり。

・クラウドによって、これまで苦労していたことから開放されるからである。そうして解放された時間を使って「本当に必要なこと」に集中できるからである

・ITによって仕事が効率化したとき、すべての人の成績が高まるわけではない。能力がある人の成績が高まるのだ。個人の差は、発想、着想、分析をどうできるかで決まるので、格差は拡大するだろう

・「アイディアが生まれやすい環境をつくること」に注力しよう。
 まず問題意識と基本的な情報を頭の中にぎゅうぎゅうに詰め込む。そして、歩く。「すでに考え続けていること」「その作業についてすでに現役になっていること」が重要なのである。
 考え続けていれば、何かの拍子にアイディアが閃く

・問題意識は「とにかく書き始めてみる」ことによって得られる場合も置い。仕事を開始するためにPCは理想的な道具である。メモ段階のメッセージを書き連ね、それを徐々に修正して、まとまった考えに発展させることができるからだ

・「書き、発信する」のにもっとも重要なのは、「何を主張するか」だ。メッセージこそ最重要だ。原稿の成否はこれで8割が決まる。アイディアは姿勢を変えると出る場合が多いので、机に向かって仕事を続けるのはあまり効率的ではない

・アイディアは新しいものとの接触で生まれることが多い。だから、知的な人々との会話は大変重要だ。相手から教えられるというよりは、相手と話している間に、自分の中に何かが生まれるのである。つまり、彼らが与えてくれるのは、多くの場合「答え」ではなく、「問い」である。「問い」こそが重要だ

・メッセージは問いから出てくる。多くの場合、問いは人間から出てくる。自分、あるいは知的な人々である

・もちろん、意味がある問いを発してくれる相手は、ごく少数だ。そうした人々を大事にしよう。そして、こうした人々との会話の際には、必ずメモノートを準備しよう

・有能な編集者とは、「いい質問を発してくれる」(あるいは、いい要望を出してくれる)人である

・発信するのは、もちろん私の考えを多くの人に知ってもらいたいからだが、それだけが目的ではない。「発信することによって考えが進む」とつねづね思っているからだ。本や連載を書いていれば、どうしてもアイディアを生みださなければならない。だから、プレッシャーがかかる。出版すると思うから、考える。そうしたプレッシャーがなければ、考えることをやめてしまうかもしれない

・「失うべき何物も持たない」人々は、信頼を裏切る可能性がある。なぜなら、それによって利益を得る半面で、失うものは何もないからである。相互信頼とは、「失うべき多くのものを持つ人々の集まり」でこそ形成されるのだ。問題は、インターネット空間が、そうした条件を満たすコミュニティなのかどうかである

企画を立てるには、「問い」が重要である。たしかにその通りだ。
「問い」については、もっと意識的でありたいと思った。

|

『呪いの時代』(内田樹著)

内田氏の本はどれも面白いが、今回の本は非常にためになった。
彼は普通の人が考えるであろう思考から、さらに一歩踏み込んで思考を展開しているように感じる。
なるほどと思ったのは以下のとおり。

・「呪い」がjこれほどまでに瀰漫したのは、人々が自尊感情を満たされることを過剰に求め始めたからです。自己評価が高いということそのものは決して悪いことではありません。矜持を持つというのは人にとってたいせつなことです。適度な野心と適度な屈辱感(今に見ておれというかたちで)は向上心をもたらし、それが自己陶治の契機ともなります。問題は「適度な」というさじ加減です

・努力することへのインセンティブを傷つけるというのが社会的差別のもっとも邪悪かつ効果的な部分なのです

・「呪いの時代」をどう生き延びたらいいのか。それは生身の、具体て系な生活のうちに捉えられた、あまりぱっとしないこの「正味の自分」をこそ、真の主体としてあくまで維持し続けることです。「このようなもの」であり、「このようなものでしかない」自分を受け入れ、承認し、「このようなもの」にすぎないにもかかわらず、けなげに生きようとしている姿を「可憐」と思うこと。それが「祝福する」ということの本義だと思います。
 呪いを解除する方法は祝福しかありません。
 僕たちの時代にこれほど利己的で攻撃的なふるまいが増えたのは、人々があまりに愛しているからではありません。逆です。自分を愛するということがどういうことかを忘れてしまったせいです。僕たちはまず「自分を愛する」というのがどういうことかを思い出すところからもう一度始めるしかないと僕は思います

・「ある種の社会的立場」を他者から承認されたいという欲望が自我の中心にあって、それが身体ばかりでなく、思考も感情も、すべてを専制的に支配している。
 つまり、現代人が自我の中心においている「自分らしさ」というのは、実はある種の欠如感、承認要求なのです。「私に対する評価はこんな低いものであってよいはずがない」というような、自分の正味の現実に対する身悶えするような違和感、乖離感、不充足感、それが「自分らしさ」の実体です

・彼らが「自分探し」というときに探しているのは実は「自分」ではない。彼らが探しているのは、彼らの欠如感、不充足感を充たしてくれるような他者です

・結婚が必要とするのは「他者と共生する力」です。よく理解もできないし、共感もできない他人と、それにもかかわらず生活を共にし、支え合い、慰め合うことができる、その能力は人間が共同体を営んでゆくときの基礎的な能力に通じていると僕は思います。
 日本社会の深刻な問題は、他者との強雨性能力が劣化していることです。自分と価値観が違い、美意識が違い、生活習慣が違う他者を許容することのできない人が増えている

・他者との共生の基礎となるのは、実は「我がうちなる他者たち」との共生の経験なのだと僕は思います。僕自身の中にも「さもしい私」「邪悪な私」「卑劣な私」がいる。それなしでは僕は僕ではない。自分自身の中に或るさまざまな人格特性を許容できる人間は他者を許容できる。僕は自分を許すことのできる人間だけが他人を許せると考えています

・自分の中にある「理想的に自分らしいところ」以外のすべてを抑圧しようとする人の眼に、他者はほとんどが「おぞましいもの」として映ります。そのような人が他者と共生することはきわめて困難です

・自分に例外的に与えられた能力は、それを持たない人たちの役に立つように使うべきです。それを持たない人を見下したり、そのアドバンテージを利用して金儲けをするために使うものではない

・僕たちが決して見落とさないのは、「これは私宛のパーソナルなメッセージだ」と確信するものだからです。人間はいつでも「自分についての言及」に対してのセンサーだけは最大化させています。自分の評価についての聞き耳を立てている。それは僕たちが社会的動物である以上当然のことです。自分が属する社会において、自分はどのようなポジションにいるのか、自分自身を定位すること、それはきわめて優先性の高い仕事だからです

・村上春樹のインタビュー「いちばんいやだったのは、それまでなんでもなくつきあっていた人たちが、何か妙に離れていったり、よそよそしくなったり、あるいは逆のことが起きたり、そういうことがけっこうあったこと。そういう人間関係の変質みたいなものが、すごく辛かった。それは、僕にとっては大事なものだあったから」

・私が問いたいのは、世の中はバカばかりで、その指摘が正しいのだとすれば、そのような世の中を少しでも住みやすいものにするために、あなたは何をする気なのかということである。

自分を受け入れること、うちなる他者と共生することの大切さを知った。

|

«『聞く 笑う、ツナグ。』(高島彩)